ベルナルド・リエター著 要約:株式会社システムズ 山崎裕司 1.近代マネーの本質 著者は、これが近代マネーおよびそれに伴う利子の本質だとする。したがって、私たち近代人はマネーに追いまくられるようにして、 1982年ドイツでの研究では、利子率5.5%の一年間に2700億マルクが利子として授受され、その結果富裕なトップ10%の世帯に他の90%の世帯から342億マルクが集中していた。全米トップ500世帯の所得は83年から89年の間に2.5兆ドルから5兆ドルに。世界トップクラス富裕層447人の資産合計は、全世界人口の半分の人の年収合計に等しく、世界3代億万長者の資産は最貧48カ国のGDPを上回っている。 2.2020年、5つのシナリオ *1「予想された未来」シナリオ *2「企業支配のミレニアム」シナリオ *3「閉鎖的コミュニティ」シナリオ *4「生き地獄」シナリオ *5「持続可能な豊かさ」シナリオ 3.地域通貨の歴史 同様にオーストリアの小さな町、ヴェルグルでスタンプ券が誕生。市が公共サービス予算の不足を補うために発行、市内に通貨として広がり、通常通貨の12〜14倍の効率で雇用を生み出していった。こちらも中央銀行から禁止措置に。 バルト3国、ブルガリア、カナダ、デンマーク、エクアドル、フランス、イタリア、メキシコ、オランダ、ルーマニア、スペイン、スエーデン、中国、フィンランド、アメリカなどで誕生。現在にまで引き継がれているのはスイスのみ。 地域通貨は経済混乱期に発生し、インフレもなく雇用創造など有用性を発揮するが、影響が無視できなくなるにつれ、国家通貨を守る立場から中央銀行が禁止する。経済混乱への対処法をなくした市民は行き先をなくしてファッショ的政権に期待し始め、ヒトラーの誕生につながっていった。 4.地域通貨の現在 唯一ニュージーランドだけが、中央銀行承認の通貨となっている。国家的構造改革の一環として、社会福祉省から資金援助。労働者が地域通貨により地域社会で働き続けることができるので、労働者が技術を磨き維持することができる、「通常の」雇用を探す動機付けとなる、自営業を開始するきっかけになる、など効用が期待できるとしている。 現在最も多いのはカナダで始まったLETS(Local Exchange Trading System)。スイスで利用者8万人を擁するWIR。日本でこの方面の中心人物通産官僚の加藤敏春が提唱するエコマネーなどがある。 5.コミュニティ崩壊の世界的現象 6.地域コミュニティをつむぐ通貨 日本の健康ケア通貨(ふれあい切符)は介護等の自ら行ったサービス時間を将来に向け貯金していく仕組み。かといって、将来是が非でも使おうという人は少ない。 コミュニティの中で自らの存在価値を確かめることで、老人たちが健康になり寿命が延びるという効果もある。保険会社が、こうした効果を期待して地域通貨を支援する例もある。 お金はないが時間はある人の時間を活用するだけではない。ビジネスの余剰能力(生かされない固定費)を活用するために地域通貨を活用する事例も。たとえば食事時間以外のレストランや週日のリゾートホテルなどは、半分を地域通貨で利用可能とする。 通常通貨では市場性のなかったような趣味や才能を流通させる効果もある。暖かい通貨、地域通貨はむしろコミュニティをつむぐ通貨として期待できる。 2002年5月26日 [ 戻る ] |